主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなた方一同と共にあるように。
コリントⅡ13章13節
2014年11月10日、オランダ・ライルオルガン製作所のパイプオルガンが、仙台長町教会において完成しました。優雅で暖かい色彩を持ったオルガン、世界にたった一つしかないオルガンが、ここに誕生しました。オランダで製作されたオルガンは一度解体され、45日間をかけて船で日本に輸送されました。教会搬入に合わせてライル社の技師たちが来仙し、組立、整音、調律と約3週間に渡って日夜作業が進められました。
オルガンは礼拝堂の木の雰囲気、会堂の大きさ、形状、残響、耐震等を考慮し、さらに、仙台長町教会の思いでもあるgraceful(神の恵み、優雅な)オルガンという要望も含めて設計されました。ライルオルガン製作所では、設計に基づいて部品も含め、すべて製作所において手作りされます。オルガンケース、パイプケース、木製のパイプ、鍵盤、風箱、椅子、アクション機構においても、敷地内に長い間寝かせたオークが使われています。金属のパイプは、鉛と錫を最適に調合するところから始まりまさに職人の業です。
パイプの音色は10種類で、鍵盤の両側のストップノブ(音栓)を引くことで音を選ぶことができます。パイプは風によって鳴ります。風は、パイプオルガンの脇に設置された電気送風機からふいごに溜められ、必要な量の風が風路を通って、風箱、パイプへと送られます。
オランダにおいてオルガンは、オランダ改革派教会の会衆讃美を支える楽器として、数多く製作されてきました。ライル社もこの国で80年の伝統を持ち、このような歴史の中で培われた誠実で深い信仰心が、製作や音に反映されております。こうして、清楚で、気品に満ち、声と溶け合う音質のgraceful オルガンが当教会に与えられました。加えて、契約から設置に至るまで、ご助言下さった関本恵美子氏や、多くの方々のお力と思いと祈りが、ライル社と一体となり完成に至りました。文字通り、神様の恵みは溢れるばかりに降り注がれました。
この尊いライルオルガンは、礼拝で用いるために造られましたが、今後、コンサートの機会も増やして参ります。仙台長町教会のオルガンの響きが神様の恵みと知恵と業をほめたたえ、多くの方々の心に語りかけ、寄り添い、慰めや希望となりますようにと祈りながら用いて参りたいと思います。
(オルガン選定委員・オルガニスト大泉真理)
写真(左から):オランダ ヘールデ、雨の中演奏台を倒して搬入、演奏台のバルコニー引上げ作業
●第1鍵盤 (C-f3)54鍵
Prestant 8' (C-F comb.)
Roerfluit 8'
Octaaf 4'
Octaaf 2'
Mixtuur Ⅱ-Ⅲ
●第2鍵盤(C-f3)54鍵
Holpijp 8'
Fluit 4'
Nasard 3'
●足鍵盤(C-d1)27鍵
Subbas 16'
Octaaf 8'
カプラー:Ⅱ/Ⅰ, Ⅰ/P, Ⅱ/P
トレモロ:全鍵盤
ストップ:実働10、補助4
パイプ数:576 本
キー・アクション:機械式
ストップ・アクション:機械式
調律法: naar Barnes
a¹=440Hz(18℃)
風圧53mm
監 修: ハンス・ライル
組 立:ヘンク・オーフェルベッヒ, ベルト・ミームズ, ハンノ・ライル
整音・調律:ヤン・クーレヴァイン, ヘンク・フォン・デル・フェーン
設置アドバイザー:関本恵美子
写真(左から):組立作業 パイプの組み込み 鍵盤と内部機構との調整
写真:整音・調律